2012.11.21 Wednesday 16:02

蓜島庸ニ展覧会・後期

蓜島庸ニ展「線とかたちの桃源記」は後期に突入しました。




後期の注目作品(個人的に)は、陶淵明の書き出したユートピア物語、陶花源記と陶源図を巻子仕立ての折り本です。書や図のおもしろさに加え、内容もとても興味深いです。



晋の時代、武陵というところに魚とりを生業としている男がいました。ある日、桃の林を発見し、その林が尽きた水源のところに一つの山がありました。男はその山に小さな口があるのを見つけます。その口はひどく狭くて、やっと人ひとりが通れるくらいです。
そこを通りぬけた先は、土地は広く平らに、立派な家屋が並び、良い田畑、美しい池があり、老若男女皆にこにこしている、男の知らない世界があるのです。
その地の人と交流をして、また同じ穴を抜けて来た道を帰ります。そして、かくかくしかじかと他の人に語り、もう一度訪れようとするのですが、迷って道をみつけることができません。その後、ついにその地を訪ねる人はいなかった。
というはなしです。
良くある話といえばそうですが、ひとつ惹かれたのは、行きも帰りも小さな口(トンネル)をとおるということです。
わたしは、この小さな口というのは産道なんじゃないかと思うわけです。
今いるところと違う世界にいくには、その世界に新しく生まれる必要があるのではないかと思います。そして元いた場所に帰る時も、また生まれる必要があるということです。



ー山に小口有り、髣髴として光有るがごとしー
とても惹かれる一文です。
ギャラリーの入り口に展示してある作品「不老門」をこの山の小口に見立てて、束の間、桃源郷なる蓜島さんの世界にいらして下さい。楽しんで頂けると思います。
後期は11月30日までです。お待ちしています!


Comment:
2012/12/10 1:28 PM, 谷中梅組 wrote:
久しぶりに蓜島さんの絵画が観られる! と、わくわくしながらアートイートに向かった。や〜、健在、健在! 桃源郷は元気がでるなあ。壁に展示された賢人たち、不老長寿の桃を護符とした作品群、いずれも楽しく、幸せいっぱい。しかし、落とし穴もある。光速よりも早く蓋の開け閉めをしなければならない玉手箱がおいでおいでをしている。アブナイのである。この箱を観て、すぐ、能の「翁」の面箱を思いだした。「翁」は寿ぎの演目ではあるけれど、厳格な儀式であり、何日も精進潔斎して身もこころも清浄にならなければ演じることができない。蓜島仙人の玉手箱も相当の覚悟をして開けなければいけないのである(開いてたけれど)。生老病死、すべてを包括する世界、それが桃源郷なのだなあ、それって、この世なのだなあ、と感じた次第。考え過ぎかしら。
楽しい展覧会、ありがとうございました。
2012/12/11 8:54 PM, casper wrote:
コメントありがとうございます。
生老病死を受け入れて、はじめてこの世という桃源郷を楽しめるのでしょうか。受け入れる、受け入れないに関わらず、もうここに自分が在るということが不思議でなりません。そして老い、死んでゆくことも。
そういうことを考えなくなって初めて生きながらに桃源郷へいけるのかもしれません。考え過ぎは良くないかもしれません。
展覧会、楽しんで頂けてとてもうれしいです。
ありがとうございました。
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